富、財産と豊かな人生
金があるんだ。だれが幸福になりたいなんて思うもんか。 レイモンド・チャンドラー 富・・・・・一人の人間の手に帰した多数の人間の貯蓄。 ユージン・V・デブス 富を軽蔑するように見える人々を余り信用しないがよい。富を得る望みのない人々が、それを軽蔑するからである。 フランシス・ベーコン 金・玉・財・器が蔵いっぱいにあって、しかも、それらを活用させないでただ蔵(しま)っておくだけであれば、つまり、それは天下の財宝が一カ所にとどまっていて天下の役に立っていないことなので、これほどの大きな損失というものはないのだ。 山鹿素行(やまがそこう) 気前のよさとむすびついた財産もまた、力である。なぜなら、それは友人と召使をもたらすからである。 ホッブズ 先祖から相続したものをわがものにするためには、あらためて獲得せよ。 ゲーテ 富は海の水に似ている。それを飲めば飲むほど、のどが渇いてくる。 ショーペンハウエル あらゆる莫大な財産の陰には、罪がつきまとう。 バルザック おびただしい富あり、黄金あり、食物ある人が、ひとりおいしいものを食べるならば、これは破滅への門である。 仏陀 私たちの財産、それは私たちの頭の中にある。 モーツァルト まことの富というものはもっと人間の身近なところにあるのだが、人間は堕落するにつれてそれがきらいになるのだ。 ルソー どれほど仕事に打ち込んで富を築いたところで、人類を前進させるのには役立ちません。モーゼやキリストやガンジーがお金をいっぱい持って、いろんな物を買いあさっている姿を想像できますか? アインシュタイン この世には、ただのお金持ちと、真に豊かな人とがいる。 ココ・シャネル
もちものをふやすということは、ほんとうにおそろしいことですね。 トーベ・ヤンソン 単なる自分ひとりの健康や快楽や自分ひとりの為の財産を求めて、幸福だったことはない。 バーナード・ショー 人間が土地を所有すれば、土地は人間を所有する。 エマーソン 富と高い地位は心労をもたらす。 中南米のことわざ たった今から収入の一割の貯金をしたまえ。自分で苦労したタネ銭がなくては、芽も出てくるまい。 大谷米太郎 退蔵貨幣の直接の形態とならんで、その美的形態すなわち金銀の所有が進む。これはブルジョア社会の富とともに増大する。 マルクス ハリウッドって、1回のキッスに1000ドル払うけど、人の心には50セントしか払わないところよ。 マリリン・モンロー 本来人の生(うま)るる時、一物も持参するに非(あら)ず。又死する時も、持ち往(ゆ)く者に非ず。裸にて帰る者なり。 二宮尊徳 所有している金銭は自由への手段であるが、追い求める金銭は隷属への手段である。 ルソー 財は天下公共の物なり。それを自ら私するを得べけんや。尤(もっと)も当(まさ)に之(これ)を敬重すべし。濫費(らんぴ)すること勿(なか)れ。之を愛重(あいちょう)するは可なり。これを惜愛(せきあい)するは不可なり。 佐藤一斉(いっさい)
人の財産は外的な生気であり、それを奪えば生気は失われてしまう。 バラモン経典『ジャイナ教綱要』より 「お金がすべてじゃないわ」 「持っている人はそう言うんです」 ジョージ・スティーヴンス 一億の財産をつくるのにきれいな方法なんかあるもんじゃない。 レイモンド・チャンドラー 人間のまことの富は彼がこの世で行う善事である。 マホメット お金があって、好きなものを買えるのはいいことだ。でも時には、お金で買えないものをなくしていないかどうか確かめたいものだ。 ジョージ・ロリマー 今持っているものに満足しない者は、持ちたいと思っているものを手に入れたとしても、同様に満足しないであろう。 アウエルバッハ 利を求めるよりは、ただ家業を怠らぬように勤め、家財をむやみに使わず、分不相応の利をむさぼらなければ、禍がなく財産を失わない。 貝原益軒(かいばらえきけん) 富が生み出すのは思い上がりか吝嗇(りんしょく)である。 エウリピデス 貧は後の禍なし。富は後の禍を残す。賢にして財多ければその志を損し、愚にして財多ければその過ちを残す。 山鹿素行(やまがそこう) 財産とは窃盗である。 プルードン 親苦労、子大尽、孫乞食。 日本のことわざ すべての者が金を儲けることにつとめるとしたら、大ていの場合、生まれつき最もきちんとした性格の人々が最も金持になるだろう。 プラトン 銀を愛する者は銀に飽くことなく 富を愛する者は収益に満足しない。 ソロモン王 金は後世への最大遺物のひとつでございますけれども、遺(のこ)しようが悪いとすいぶん害をなす。 内村鑑三
所願は止む時なし、財は尽くる期あり、限りある財をもちて、限りなき願ひにしたがふこと、得べからず。 吉田兼好 武装した強い人が自分の財産を所有しているときは、その所有しているものは、安らかである。 パスカル 富と言いうるほどの富、すなわち有り余る富は、われわれの幸福にはほとんど何の寄与するところもない。 ショーペンハウエル 人間の欲求は与えられる満足によって増大するという法則の必然の結果として、人は財貨を持っていればいるほど、ますます財貨がほしくなるものなのです。 シャルル・ヴァグネル 生中財産を持ってるのは猛獣を飼って置くようなもので、天下の富を私する罪を重ねるだけです。 内田魯庵(ろあん) 財貨を儲けることは、けっして無益なことではない。だが不正によって儲けることは、何よりも悪いことなのだ。 デモクリトス 富は苦労して得、憂慮して保持し、失って嘆ぐ。 イギリスのことわざ 土地の所有にもとづく富ほど、罪深く、汚らわしいものはない。いわゆる土地所有権なるものは、地球上の人間の半分のものから、彼らの合法的で、当然受け取る相続財産を奪ってきた。 トルストイ ワガ財ヲオシムベカラズ、モシ天心ニソムキ、財多クシテ人ニ施サザレバ、ワザハヒ出来ル物也。 貝原益軒(かいばらえきけん)
富める者が天国に往(ゆ)くことは、駱駝(らくだ)が針の穴を通るより難しい。 『新約聖書』より 財産についての意欲は、貪欲とよばれる。 ホッブズ 財産によって身体の満足を得ようとするのは、いかにも的はずれなことだ。 荘周 めでたやな 下戸(げこ)の建てたる倉もなし 上戸(じょうご)の倉もたちはせねども 岩代岡萱根 富も財産なり、知識も財産なり、健康も財産なり、才能も財産なり、面(しか)して意志も亦(また)財産たるなり。面して意志の他の財産に優る所以は、何人も之(これ)を有すると、之を己(おのれ)が欲する儘(まま)に使用して得ることに存す。 内村鑑三 富者の大きな幸福は慈善をなし得るにある。 ラ・ブリュイエール 富をなせば仁ならず、仁をすれば富ならず。 沢庵 満ちた財布は心を軽くする。 イギリスのことわざ 英知を加味した富は本来の最上の贈物なり。 ピンダロス 財産や地位はみな人間社会になくてはならないものである。ただそれが礼と義(人間生活において守るべき規範と倫理)にかなっているかどうかを見きわめねばならぬ。どうして外物(人間の外にあるもの)だというだけでこれをきらうことができよう。 伊藤仁斎(じんさい) 人は父親の死は早く忘れるが、その遺産の喪失は忘れない。 マキャヴェッリ お金を出しすぎると知恵が出にくくなる。 ココ・シャネル 遺産を何かもらううれしさは、故人が当然残す悲しみを一部相殺したり、やわらげるものである。 セルバンデス 財は一代、衣は二代、食は三代、品が七代。 日本のことわざ
富は無知と結びついて初めて人間の品位を落とす。 ショーペンハウエル 利欲にはしれる浮世の人あさましく、厭(いと)はしく、これ故にかく狂へるかと見れば、金銭はほとんど塵芥(じんかい)のように覚えし。 樋口一葉 財産は、賢者にあっては奴隷の地位にあるが、愚者にあっては支配者の地位にある。 セネカ 富はたいてい、その所有者を害(そこな)う。 プルターク 何故に人間が社交するかといえば、自己の財産を保持したいからである。 ジョン・ロック 金銀は慈悲と義理と恥 身の一代に使ふためなり。 一休宗純 富は必然的に種族の或る貴族制を産み出す、なぜなら富はもっとも美しい女たちを選んだり、もっともすぐれた教師たちを雇ったりすることを許し、人間に清潔さを、体育をやる時間を、とりわけ頭を鈍らせるような肉体労働の回避をよろこんで許すからである。 ニーチェ 身死して財のこる事は、智者のせざるところなり。 吉田兼好 廉直(れんちょく)は金に追われ、正義は金で売られ、法は金に従い、やがて貞節も無法とならん。 プロペルティウス
水で際限ができるのは、それ以上に水が無いところです。富で際限ができるのは、その富がもう十分になったところです。人間は自分でもう十分だといって止まることなどできません。してみると富の際限はないのでしょう。 韓非子 善(よ)からぬ所業から生じた富は、この上なく公然明白な恥辱を自ずから抱えこむのだ。 デモクリトス 財宝は甘き毒に似たり。 無住 金銭をいくらつんでも、そこからすぐれた精神が生まれてくるわけではなく、金銭その他のものが、人間のために善(よ)いものとなるのは、公私いずれにおいても、すべては精神のすぐれていることによる。 プラトン 貧乏は盗賊のように、欠乏は盾を持つ者のように襲う。 ソロモン王 金を遺(のこ)すものを賎(いや)しめるような人は、矢張(やはり)金に賤しい人であります。 内村鑑三 すべての悪が歳をとっても、貪欲だけはまだ若い。 フランスのことわざ なきなきも よい方をとる かたみわけ 江戸川柳 使えばこそ、ものは持つもの。わたしは尋ねる、つねにあくせくとためこみ、貯金貯金と余念のない人たちに、他の人にないいかなる利益がえられるのかと。 ラ・フォンテーヌ 長者に二代無し。 日本のことわざ
一人の富者がなんと多数のこじきを養うことか。王が建築を始めれば、馬車ひきには仕事が生まれる。 シラー 富の特性は、気前よくくれてやれることである。 パスカル 財多ければ身を守るにまどし、害をかひ累を招くなかだちなり。 吉田兼好 財産の多きも害にはならず。 フランスのことわざ 人間が死んだり、金銭を失ったり、家がないとか、財産がないとかいうことが、哀れなのではない。 なぜなら、これらすべてのものは、人間にもともと備わっているものではないからだ。 人間は、自分の本来の財産、最高の財産、すなわち、“愛するという才能”を失った時が、哀れなのである。 トルストイ 富の蔑視は、哲人たちにあっては、自分の価値に正しく報いない運命の不当さに、仕返しをしたいという密かな欲望であった。 ラ・ロシュフコー 我が死んだらば、この金銀誰が物にかなるべし。思へば惜しかなしや。 井原西鶴 富と名誉と出世をめざす競争において、かれはかれのすべての競争者を追いぬくために、できるかぎり力走していいし、あらゆる神経、あらゆる筋肉を緊張させていい。 アダム・スミス よし、金銭の奴隷になるのはもうやめた。ひとつ、金銭を奴隷に使ってやろう。 ジョン・ロックフェラー
富が欲求を生みだすことは疑いもなく真実である。しかし、欲求が富を生みだすことはさらにもっと重要な真理である。 マルサス お金を儲けた人たちもやはり、お金というものを、自分のつくりあげた業績と思う気持ちから大切にするわけで、ほかの人のように実利的な観点から大切にするだけではないのですね。 プラトン 利己心の発揮は見えざる手を通じて社会の利益を増大させる。 アダム・スミス 財貨への欲望は、もしこれで満足という思いがその欲望に歯止めをかけることができないなら、極度の貧乏よりもはるかに厄介なものだ。 デモクリトス 数えられる程度のカネでは、まだ億万長者とはいえない。 J・ポール・ゲティ 富には羽根がある。ときどきひとりでに飛び去っていくし、もっと多くもってくるように飛び立たせられなければならないこともある。 ベーコン われわれは美人の試練に耐える眼も、黄金のそれに耐える手も持たない。十分に忠実な心づかいで宝物を預かれる人はまずいない。 ラ・フォンテーヌ 利益は価値ではない。それは財産関係の変更にすぎない。すなわち一者の利益は他者の損失なのである。 フェルディナント・テンニース 金は肥料のようなものだ。ばらまけば役に立つが、一ヶ所に積んでおくとひどい臭いがしてくる。 クリント・W・マーチソン わたしは多くの名誉も大きな財産もほしくない。そんなものは脾臓(ひぞう)に炎症を起こさせるだろう。さりとて、よい評判といくらかの財産がなくては、よく眠れない。 ニーチェ 近代資本主義の―そればかりか近代文化の―構成要素の一つである職業観念にもとずく合理的生活営為は、キリスト教的禁欲の精神から生まれた。 マックス・ヴェーバー 金を手にして得意がるのは愚か者だけだ。 ジョン・ロックフェラー
われわれはしばしば、実質的には金銭上の差別にすぎないものを、芸術的もしくは知性的な差別と解釈する。 ソースティン・ヴェブレン 富を欲するか、恥を忍べ、傾絶せよ、故旧を絶ちて、義と背け。 〈恥に耐え、命の限りに全力を尽くせ。旧友との交際を絶ち、義理に背け。もし富を得たいのならば〉 孟子 持っているもので満足できるのが豊かということだ。もっとお金がほしいと思っている限り、その人は豊かではない。 マーク・トウェイン 富は、人生という機械の潤滑油である。 ポール・ヴァレリー 富は使うためのもので、使うのは名誉とよい行為のためのものである。だから異常な出費はその場合の価値に応じたものにしなければならない。 ベーコン 金持ちのままで死ぬのは不名誉な死である。 アンドリュー・カーネギー 人生には「四つの貯蓄」というものがありましてね。 まず第一に「知識の貯蓄」、二番目に「友人の貯蓄」、三つ目は「健康の貯蓄」です。そして、この三つの残高が大きくなりますと、第四番目、「お金の貯蓄」は自然とできるものですわ。 石原保 人間死ぬときは、金も名誉も関係ないはずだ。なまじ金持ちになったりするから、家庭や兄弟が悶着(もんちゃく)を起したりする。死ぬまで金に執着したり、金の力に頼らなきゃ何もできない人間は不幸だと思う。 本田宗一郎 樫だけが樹ではない。バラだけが花ではない。多くのつつましい富が私たちのこの世を豊かにしているのだ。 ジェイムズ・レイ・ハント
わたしは、自分の金についての知識を、多少わざと、不明瞭に、不正確にしておく。ある一定の度合いまで、わたしはそれについて疑わしさをはさむことができるのが満足なのだ。 モンテーニュ 金儲けのうまい人は、無一文になっても自分自身という財産を持っている。 アラン この人生は、どんなにつらくとも生きるに値する。そのためには三つのことが必要だ。それは、勇気と、希望と、いくらかのお金だ。 チャールズ・チャップリン 富への道はあなたがそれを望むのであれば、市場へ行く道と同じくらい簡単なものだ。 ベンジャミン・フランクリン 欲で目が見えなくなる人があり、欲で目を開かれる人がある。 ラ・ロシュフコー 私有財産が存在し、すべてのひとがなんでもかんでも金銭の尺度ではかるようなところでは、社会が正しく治められたり繁栄したりすることはほとんど不可能だと思えます。 トマス・モア 人は富によって満足させられはしません。われわれが富を獲得するであろうころには、もうあなた(死神)を見ているのです。 バラモン経典『ウパニシャッド』より 名声は財宝に勝る。 フランスのことわざ ちょっとした財貨でも、人目につかない所に並べておけば、曾参(そうしん)や史鰌(ししゅう)のような正直者でさえ怪しいものであるが、百金もの大金でも、人目の多い市場に放っておけば、大泥棒でさえ取らないものである。 韓非 アッラーは誰にも能力以上の負担を背負わせ給うことはない。儲け分も欠損もすべては自分で稼いだだけのもの。 『コーラン』より 生命以外に富はない。 ラスキン 蓄財的生活にいたってはいわば強要のもとに営まれる生活であり、富がわれわれの求める善でないことは明らかであろう。富は何かのために役立つもの、それ以外のもののために存するものでしかない。 アリストテレス
絶対に嘘をつかず、おのれのものに満足すること、それこそが最も安全。しかし人々は、財産をつかもうと、夢中になって嘘を言う。それが何の役に立つ? ラ・フォンテーヌ 不正な富を賢く利用して、自分のために友達を作っておきなさい。そうすれば、富がなくなっても、友人たちがきみらを永遠のテントに迎え入れてくれるだろう。 『聖書』より 金のないのは悲しいことだ。だが、あり余っているのはその二倍も悲しいことだ。 トルストイ ええ呪われろ、よるとさわると他人の陰口、宝を山と貯めこんで、暇さえあれば銭勘定、これだけあればもう不老不死と思ってか。 『コーラン』より 黄金や銀の山があったとしても、またそれを二倍にしても、それだけでは、一人の人を満足させることはできない。 仏陀 A「あなたが一番影響を受けた本はなんですか」 B「銀行の預金通帳だよ」 バーナード・ショー 財貨にしても、自分で稼いだひとは、貰ったひとに比してより多くそれを慈しむのである。 アリストテレス 人から受け取る物は、もらうべきであっても分相応を越えてはならない。 洪自誠 普通の人間は、なによりも先に、財宝をたいせつに思い、次には、肉体の安楽を重視し、そして魂のことなどは最後にしか考えません。 エラスムス
貪欲と略奪心は、あらゆる生物の場合には将来の欠乏にたいする心配から起こりますが、人間の場合には、必要もないのに、ものを見せびらかして他人を凌ぐのを栄誉と考える高慢心だけで起こることもあります。 トマス・モア 1万円持とうが、1億円持とうが、本来の自己(私という人間の本質)は少しも変わらないんです。変わるのは銀行の扱い。つまり、自分の外側です。変わる側に眼を向けているかぎり、本当のいのちの安らぎはありません。 相田みつを 資産者たちよ。戒めをたもち、品性ある人は、なおざりにしないことによって、財産が多いに豊かとなる。 仏陀 どっちのほうを眺めてみても、教皇も王公も判官も奉行も、友人も仇敵も、貴賤貧富を問わずだれもかれもが、ただ現金を追い求めておりますから、賢人が金銭を蔑視いたします以上、賢人といっしょにいるのを避けるように注意いたしますね。 エラスムス 自分の財産をこの世に蓄えてはならない。この世の財産は、虫が食ったりさびついたりするし、泥棒が戸や壁を破って盗み出したりもする。だから、財産は天に蓄えなさい。 『聖書』より ある守銭奴(しゅせんぬ)がその財宝に執着する場合、すなわち、盗まれるのを恐れて眼を離さず片時も離れようとしないのを、ひとは嘲(あざけ)る。金銭は、それほど気を使って守るのに値しないからだ。 デカルト 自由で財産家でいられるあいだは、わたしは暮らしていける財産をもって、生きていく。財産がわたしを支配することになったら、わたしはすぐにそれを捨てよう。 ルソー 欲はあらゆる種類の言葉を話し、あらゆる種類の人物の役を演じ、無欲な人物まで演じてみせる。 ラ・ロシュフコー 誰にもせよ、人間の財産上の満足は絶対量に基づくのでなく、単に相対的な量、すなわち、要求と財産との比例に基づく。 ショーペンハウエル
金を貯めておくか使うかは、本来どっちがどうとも言えないもので、われわれの意志の用い方に従って、はじめて、よくもわるくも色づけられるのだ。 モンテーニュ 大きな富には何か効用があるかもしれないように見せようとするために、なんという見栄をはる仕事が企(くわだ)てられることか。 ベーコン 世の中の人が残らず富めば、天地もそのまま尽きてしまうでしょう。 熊沢蕃山(ばんざん) 哲学追放には、月給と謝礼が何よりも大事で真理や精神などそれこそ全くどうでもいいといった連中が心から喜んで一役買った。 ショーペンハウエル 財産の多い者は、莫大な損をしやすい。だから金持ちよりは貧乏人の方が、失う心配もなくてよいことがわかる。 洪自誠(こうじせい) 財禄(ざいろく)はかぎりがあるが、私欲にはかぎりがない。かぎりのない欲に任せては、かならず財がつきて困窮する。 貝原益軒(かいばらえきけん) 賢者は財宝を貯(たくわ)えない。人に与えれば与えるほど彼の財宝は豊かになる。 老子 私たちは、もっと金があれば幸せになれるだろうと信じ、金を稼ぐために自律と時間を犠牲にしている。それは間違いだ。私たちのしていることは、かつてない裕福さの中で、人生の活力を浪費しているだけなのだ。 リチャード・コッチ 金をただ積んでおいて使わないというのでは、結局貧乏と同じことではないか。 司馬江漢(しばこうかん)
とにかく金がほしいと思いこんだら、これまで貯えた精力を、もっぱら金銀を集めることに集中し、一生もぐらもちのような親父になって、生爪をはがされても、握った金は放さないことです。 平賀源内 がんらい義侠(ぎきょう)心のある者は蓄財がなく、蓄財のある者は義侠心がなく、喜びをともにする者は多く、憂いを分かつ者はすくない、というのは世の習いである。 高野長英 兄弟も財布は姉妹にあらず。 ヨーロッパのことわざ 寛厚(かんこう)なひとが富んでいるということは容易にありえない。 アリストテレス 金銭が多すぎるのは不便というべきだ。常人の願望はこういうことが多い。願っても達成しない、達成しても益のないことだ。 二宮尊徳 富という名のもとに、実際に人が欲するものは、本質的には他人を支配する力である。 ラスキン 財産は吐く息よりも速く減っていく。 ソロモン王 銭を好むは人の天性なれば、その天性に従いて十分にこれを満足せしめんとするもけっして咎(とが)むべきにあらず。ただ理外の銭を得んとしてその場所を誤り、銭を好むの心に限度なくして理の外に出で、銭を求むるの方向に迷うて理に反するときは、これを貪吝(どんりん)の不徳と名づくるのみ。 福沢諭吉 資本とは労働の蓄積されたものだ。 マルクス 他人に自分の望むことをさせるためには、権力者でない普通人の場合には、昔から今日にいたるまでただひとつの方法しかない―金の力を借りることである。 トルストイ たくさんの金を貯めているということも決して悪いことではない。これは天下の宝である、みだりに他人の手に渡すときはかならず無駄なことに使ってしまうから、自分が天下のために万人に代わって管理しているという信念のもとに金を貯めているのならば、少しも差し支えないことだと思う。 河上肇(はじめ)
金持ちになる道は多く、その大部分は醜悪なものである。 ベーコン 笑劇を観るのは、教養ある人にとって、富籤(とみくじ)をひくようなものである。ただ金をもうけるという煩(わずら)わしさがないだけのことだ。 キルケゴール 何かを強く欲する前に、現にそれを所有する人がどれだけ幸福かを確かめておく必要がある。 ラ・ロシュフコー 瞞(だま)されて失った金銭ほど、有利に使った金銭はない。その金銭で取りも直さず知恵を購(あがな)ったことになるからである。 ショーペンハウエル 不自然な病的な思い込みによって、無価値な事物が価値らしきものを帯びることはよくある。チューリップ狂の人は、同じ重さの金と引き換えでも選り抜きの球根を手放しはしない。別の人には、割れた古い陶器の汚い破片が何よりも大切な財産であるらしい。また、有名な殺人者の遺品に高い金を払う人もある。 スペンサー なんのために人間は裕福でなければならないのか? なんのために彼には高価な馬が、立派な服が、美しい部屋が、公共の娯楽場に入場する権利が必要なのか? すべてこれは思考の欠如からきている。こうした人々に、思考の内的な仕事を与えよ。さすれば彼は、もっとも富裕な人々よりも幸福になるだろう。 エマーソン そうだな。何でも自分のものにして、持って帰ろうとすると、難しいものなんだよ。ぼくは、見るだけにしてるんだ。 トーベ・ヤンソン